肩こり・腰痛がなかなか改善しない理由とは?運動と栄養から徹底解説

コンディショニング

肩こり・腰痛がなかなか改善しない理由とは?

「肩を揉んでも数日で元に戻ってしまう」「湿布を貼ってもその場しのぎになっている」そんな経験はありませんか?

肩こりや腰痛は、日本人が抱える代表的な身体の悩みの一つです。しかし、痛みがある場所だけをケアしていても、なかなか改善しないケースは少なくありません。

その理由は、肩こりや腰痛が肩や腰だけの問題ではないからです。姿勢の崩れや筋力の低下、柔軟性の不足、運動不足、睡眠不足、ストレス、さらには毎日の食事まで、さまざまな要因が複雑に関係しています。

私は健康運動指導士として運動指導を行う一方、管理栄養士として食事や生活習慣のご相談も受けています。その中で感じるのは、「運動」と「栄養」の両方を意識している方ほど、身体の変化を実感しやすいということです。

今回は、肩こりや腰痛が改善しにくい理由と、自宅で取り組めるセルフケア、身体づくりを支える栄養について、最新の知見も交えながら解説します。

肩こり・腰痛が改善しない5つの理由

肩こりや腰痛が長引く背景には、一つだけではなく複数の原因が重なっていることが多くあります。

例えば、次のようなことに心当たりはありませんか。

  • 長時間同じ姿勢で仕事やスマートフォンを見ている
  • 運動不足で身体を動かす機会が少ない
  • 肩や腰だけを揉んで対処している
  • 睡眠不足やストレスが続いている
  • 食事が偏り、栄養バランスが乱れている

このような生活習慣が続くと、筋肉への負担が少しずつ積み重なり、慢性的な肩こりや腰痛につながることがあります。

そのため、「肩が痛いから肩だけ」「腰が痛いから腰だけ」という考え方ではなく、身体全体を見直すことが改善への近道になります。

肩こりは肩だけが原因とは限らない

肩こりというと、「肩の筋肉が硬くなっているから」と考える方が多いかもしれません。

しかし実際には、首や背中、姿勢全体が大きく関係しています。

例えば、スマートフォンやパソコンを見る時間が長くなると、自然と頭が前へ出た姿勢になります。

人の頭は約4〜6kgあるとされ、本来は背骨の上でバランスよく支えられています。しかし、頭が前へ出るほど首や肩の筋肉は重い頭を支え続けることになり、負担が大きくなります。

さらに、長時間同じ姿勢を続けると筋肉を動かす機会が減るため、血流も滞りやすくなります。その結果、疲労が蓄積し、肩こりを感じやすくなると考えられています。

また、肩が上がりにくくなる四十肩・五十肩でも、姿勢の影響を受けることがあります。

猫背では背中が丸まり、肩甲骨が動きにくくなるため、腕をスムーズに上げにくくなることがあります。

そのため、肩だけを揉みほぐすのではなく、胸を開いたり、背中をゆっくり伸ばしたりするストレッチを取り入れることも大切です。

腰痛は腰だけをケアしても改善しないことがある

腰痛にもさまざまな種類があります。

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、医療機関での治療が必要なケースもありますが、多くは筋肉や関節の機能低下、姿勢、運動不足などが関係しているとされています。

特にデスクワークが多い方では、お尻や股関節、太ももの裏側の筋肉が硬くなりやすく、身体を動かしたときに腰だけへ負担が集中してしまうことがあります。

また、お腹周りの筋肉が十分に働いていないと身体を支える力が弱くなり、腰への負担が増えることもあります。

そのため、腰だけを伸ばすのではなく、お尻や股関節、体幹も含めて身体全体を動かすことが大切です。

肩こり・腰痛対策で意識したいポイント

次のような習慣を取り入れることで、肩や腰への負担を減らしやすくなります。

原因今日からできる対策
長時間同じ姿勢1時間に1回は立ち上がって身体を動かす
猫背になりやすい胸を開くストレッチを行う
股関節が硬いお尻や股関節のストレッチを行う
体幹が弱い息を吐きながらお腹を軽くへこませる体幹トレーニングを行う
運動不足ウォーキングなど無理なく身体を動かす

難しい運動を行う必要はありません。

毎日5〜10分でも身体を動かす時間をつくることが、肩こりや腰痛の予防・改善につながります。

身体づくりには栄養も欠かせない

肩こりや腰痛を改善するためには、運動だけではなく身体をつくる材料となる栄養も重要です。

特に意識したい栄養素は次の3つです。

  • たんぱく質:筋肉や腱、靱帯など身体を支える組織の材料になる
  • マグネシウム:筋肉や神経の働きをサポートするミネラル
  • ビタミンB群:食事から摂った栄養をエネルギーへ変えるために必要

これらは肉や魚、卵、大豆製品、乳製品、海藻、ナッツ類などから摂ることができます。

また、睡眠不足やストレスが続くと筋肉は無意識に緊張しやすくなります。

そのため、栄養だけではなく、十分な睡眠や休養を確保することも、身体のコンディションを整えるうえで欠かせません。

近年では、GABAを配合した機能性表示食品の中には、一時的な精神的ストレスの軽減や睡眠の質の向上をサポートすることが報告されている製品もあります。ただし、肩こりや腰痛を改善するためには、運動・食事・睡眠を含めた生活習慣全体を見直すことが基本になります。

最新の研究でも「運動+生活習慣」が重要

近年の研究では、慢性的な肩こりや腰痛の改善には、一つの方法だけではなく、運動療法や身体活動、睡眠、心理的要因、生活習慣などを組み合わせた包括的なアプローチが重要であることが報告されています。

また、適度な運動を続けることは、痛みの軽減だけでなく、日常生活の動きやすさや生活の質(QOL)の向上にも役立つことが示されています。

そのため、「痛いから動かさない」のではなく、無理のない範囲で身体を動かし続けることが大切です。

まとめ

肩こりや腰痛は、「肩を揉めば治る」「腰を伸ばせば治る」という単純なものではありません。

姿勢の崩れや運動不足、筋力や柔軟性の低下、睡眠不足、ストレス、そして栄養状態など、さまざまな要因が重なり合って起こります。そのため、一つの方法だけで改善を目指すのではなく、生活習慣全体を見直すことが大切です。

まずは、次のポイントから始めてみましょう。

  • 長時間同じ姿勢を避け、1時間に1回は立ち上がって身体を動かす
  • 胸を開くストレッチや股関節のストレッチを習慣にする
  • ウォーキングなど無理なく続けられる運動を取り入れる
  • たんぱく質やマグネシウム、ビタミンB群を意識した食事を心がける
  • 睡眠時間を確保し、ストレスをため込み過ぎないようにする

すべてを一度に変える必要はありません。

毎日の生活の中で「できそうなこと」を一つずつ続けることが、肩こりや腰痛に悩みにくい身体づくりにつながります。

慢性的な痛みが続いている方ほど、痛い場所だけではなく、「姿勢」「運動」「食事」「睡眠」という4つの視点から身体を見直してみてはいかがでしょうか。

【よくある質問】

Q. 肩こりは肩を揉めば改善しますか?

肩を揉むことで一時的に楽になることはありますが、姿勢や運動不足などの原因が改善されなければ、再び肩こりを繰り返すことがあります。根本的な改善を目指すには、身体全体を動かす習慣も大切です。

Q. 腰痛のときは安静にした方が良いですか?

強い痛みや医療機関で治療が必要な病気を除き、近年では必要以上の安静よりも、無理のない範囲で身体を動かすことが推奨されています。症状に合わせて少しずつ活動量を増やしていくことが大切です。

Q. 肩こりや腰痛におすすめの食べ物はありますか?

特定の食品だけで改善するわけではありませんが、筋肉の材料となるたんぱく質や、筋肉・神経の働きをサポートするマグネシウム、エネルギー代謝に関わるビタミンB群をバランスよく摂ることが大切です。

Q. 病院を受診した方が良い症状はありますか?

次のような場合は、セルフケアだけで様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 強い痛みが続く
  • 足のしびれや力が入りにくい
  • 転倒や事故のあとから痛みがある
  • 発熱や体重減少を伴う
  • 排尿・排便の異常がある

このような症状は、専門的な検査や治療が必要な病気が隠れている可能性があります。

参考文献

  1. World Health Organization. WHO Guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care. 2023.
  2. Delitto A, et al. Interventions for the Management of Acute and Chronic Low Back Pain: Revision 2021. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy (JOSPT). 2021.
  3. Hayden JA, et al. Exercise therapy for chronic low back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2021.
  4. Corp N, et al. Clinical Practice Guideline for the Management of Non-specific Neck Pain and Associated Disorders. 2023.
  5. Geneen LJ, et al. Physical activity and exercise for chronic pain in adults: an overview of systematic reviews. Cochrane Database of Systematic Reviews(継続的なエビデンス更新版).
  6. 厚生労働省「国民生活基礎調査」(自覚症状の状況)

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堀越 準矢(管理栄養士・健康運動指導士)

管理栄養士・健康運動指導士として、運動・栄養・整体を組み合わせた健康づくりをサポート。企業や自治体で年間100回以上の健康セミナーや栄養・運動指導を行い、肩こり・腰痛予防、高齢者の健康づくり、生活習慣病予防など幅広いテーマで活動しています。

「運動だけ」「食事だけ」ではなく、一人ひとりの生活に合わせた無理なく続けられる健康習慣を提案することを大切にしています。

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