40代から始める「一生歩ける身体」のつくり方はこの5つを意識する。

コンディショニング

健康寿命を延ばすために、本当に見直すべき食事と身体の整え方

40代を迎えた頃から、「疲れが抜けなくなった」「肩や腰の違和感が続くようになった」「若い頃と同じ生活をしているのに身体が思うように動かない」と感じる方は少なくありません。

健康診断では大きな異常がない。それでも何となく身体が重く、本来の自分ではないような感覚が続く。そのような相談を、現場で数多く受けてきました。

こうした変化を「年齢だから仕方がない」と考えてしまう方もいますが、私はそうは思いません。

もちろん年齢を重ねれば、筋肉量や回復力、身体の柔軟性などは少しずつ変化します。しかし、その変化を必要以上に早めてしまうか、それともできる限り穏やかに年齢を重ねていくかは、毎日の生活習慣によって大きく変わります。

40代以降の身体の変化起こりやすい背景今から意識したいこと
疲れが抜けにくくなる睡眠、活動量、栄養状態などの変化休むだけでなく、食事と睡眠の質を見直す
筋力が落ちやすくなる加齢や運動量低下筋肉を減らさないために歩行と筋力運動を続ける
肩・腰・膝に違和感が出やすい姿勢や身体の使い方の変化痛い場所だけでなく、股関節や背骨など全体を見る
疲れやすく活動量が減る小さな不調の積み重ね無理のない範囲で毎日身体を動かす
健診では異常がないのに不調が続く数値だけでは分からない体力や機能の低下食事・運動・休養をまとめて見直す

私は健康とは、病気にならないことだけではないと考えています。

好きな場所へ自分の足で出かけられること。趣味を楽しめること。家族や友人と笑って過ごせること。そして「年齢だから」と何かを諦めなくてもいい身体を維持できること。

それこそが、本当の意味で健康寿命を延ばすことではないでしょうか。

近年、「健康寿命」という言葉を耳にする機会が増えました。しかし本当に大切なのは、寿命の長さだけではありません。

自分らしく生活できる時間を、どれだけ長く保てるか。

そのためには、不調が強くなってから対処するだけではなく、40代頃から少しずつ身体の土台を整えていくことが大切です。

「一生歩ける身体」をつくるために、まず何をすればいい?

健康のために何か始めようと思っても、

「結局、何を食べればいいの?」
「どんな運動をすればいいの?」
「ストレッチは何をやればいいの?」

と迷ってしまう方も多いと思います。

そこで私は、まず次の3つから始めることをおすすめしています。

身体をつくる栄養を不足させない
脚の筋肉を使う習慣をつくる
股関節・背骨・足首を動かす

特別な健康法を始める必要はありません。

むしろ40代以降は、極端な食事制限や激しい運動を一時的に頑張るよりも、毎日無理なく続けられることを積み重ねる方が重要です。

「食べること」は、10年後の身体をつくること

何を減らすかより、まず「何が足りていないか」を考える

40代を過ぎると、「若い頃と同じ量しか食べていないのに太りやすくなった」「体重は変わらないのに疲れやすくなった」と感じる方が増えてきます。

そのため、

「ご飯を減らそう」
「脂質を減らそう」
「夕食を抜こう」

と、食べる量を減らす方向ばかりに意識が向いてしまうことがあります。

もちろん食べ過ぎを避けることは大切です。

しかし40代以降では、単純に食事量を減らした結果、筋肉や骨、身体の修復に必要な栄養まで不足してしまうケースにも注意が必要です。

身体は毎日少しずつ作り替えられています。

筋肉、骨、血液、皮膚などの材料になるのは、毎日の食事から摂取する栄養です。

つまり食事とは、お腹を満たすだけではなく、未来の身体へ材料を届ける行為でもあります。

まず意識したいのは「たんぱく質」

40代以降で特に意識したい栄養の一つが、たんぱく質です。

たんぱく質は筋肉だけではなく、皮膚、血液、酵素など身体のさまざまな組織の材料になります。

たとえば、

  • 大豆・豆腐・納豆
  • 牛乳・ヨーグルトなどの乳製品

などを、毎日の食事の中で偏りなく取り入れていきましょう。難しく考える必要はありません。

「毎食、手のひら1枚分くらいのたんぱく源があるか」という感覚で確認するだけでも、食事はかなり変わります。

たとえば朝食がパンとコーヒーだけなら、卵やヨーグルトを追加する。

昼食がおにぎりだけなら、焼き魚やサラダチキン、ゆで卵などを足す。

このような小さな工夫でも、身体に届けられる栄養は変わってきます。

骨や筋肉を支える栄養も忘れない

「一生歩ける身体」を考えたとき、筋肉だけでなく骨の健康も重要です。そのため、たんぱく質に加えて、カルシウム、ビタミンD、マグネシウムなども日頃から意識しておきたい栄養素です。

カルシウムは乳製品、小魚、大豆製品、青菜などから摂ることができます。

ビタミンDは魚類やきのこ類などに含まれます。

マグネシウムは大豆製品、海藻、ナッツ類、魚介類などにも含まれています。

一つの食品だけで何とかしようとするのではなく、

魚・肉・卵・大豆製品・野菜・海藻などを組み合わせる

ことが基本です。

「健康にいい食品を一つ探す」よりも、「いろいろな食品から身体に必要な材料を届ける」と考えてみてください。

40代からは「歩くだけ」ではなく、脚の筋肉を使う

歩くことは非常に大切です。

しかし、「毎日歩いているから筋力運動は必要ない」というわけではありません。

年齢とともに筋肉量が低下しやすくなることを考えると、40代以降は歩行+簡単な筋力運動を組み合わせることがおすすめです。

特に意識したいのは、

  • お尻
  • 太もも
  • ふくらはぎ

です。

これらは立つ、歩く、階段を上るといった日常動作を支えている重要な筋肉です。

自宅でできる「一生歩くための3つの運動」

椅子スクワット

椅子の前に立ち、お尻を後ろへ引きながらゆっくり腰を下ろします。完全に座ってしまっても構いません。そこから再び立ち上がります。

まずは、10回程度を1〜2セットから始めてみましょう。

膝だけを曲げるのではなく、お尻を少し後ろへ引くことを意識すると、太ももだけでなくお尻も使いやすくなります。

膝に痛みがある場合は、深くしゃがむ必要はありません。

かかと上げ

椅子や壁に手を添え、かかとをゆっくり上げ下げします。ふくらはぎは、歩くときに身体を前へ押し出したり、足元を安定させたりするために重要です。

10〜20回程度を1〜2セットから始めてみてください。

片脚立ち

転倒予防のためには、筋力だけでなくバランス能力も重要です。机や椅子につかまれる場所で、片脚を軽く浮かせて立ってみましょう。

最初は、左右10〜20秒程度からで十分です。

慣れてきたら少しずつ時間を延ばしていきます。転倒の危険があるため、必ず何かにつかまれる場所で行ってください。

「何歩歩くか」だけではなく、「毎日座りっぱなしにしない」

健康のために「1日何歩歩けばいいですか?」と聞かれることがあります。

もちろん歩数は一つの目安になりますが、それ以上に意識してほしいのが、長時間座りっぱなしにしないことです。

デスクワークで2時間、3時間と同じ姿勢を続けるよりも、

30分〜1時間に一度立ち上がる。

少し歩く。

伸びをする。

階段を使う。

こうした小さな活動を一日の中に散りばめることも大切です。運動をする時間だけを「健康づくり」と考えず、日常生活そのものを少しずつ動く生活へ変えていきましょう。

膝が痛いからといって、膝だけを見るとは限らない

私は整体の施術をしていて、「膝が痛いので膝を治してください」という相談を受けることがあります。

しかし身体全体を見ていくと、膝だけに負担の原因があるとは限りません。

たとえば股関節がうまく動いていなければ、本来股関節で受けるはずだった負担を膝が代わりに受けることがあります。足首が硬くても、歩行やしゃがむ動作の中で膝へ負担が集中することがあります。

また、背中が丸まり骨盤の位置が変われば、立ち方や歩き方そのものが変わることもあります。

だからこそ、痛い場所だけではなく、股関節・足首・背骨を含めて身体全体を見ることが大切なのです。

まず取り入れたい3つの簡単ストレッチ

股関節前面のストレッチ

長時間座っている方は、股関節の前側が硬くなりやすくなります。片膝立ちになり、身体を起こしたまま骨盤をゆっくり前へ移動させます。

後ろ脚の付け根が伸びる位置で、20〜30秒程度キープします。

腰を反りすぎないことがポイントです。

ふくらはぎのストレッチ

壁に手をつき、片脚を後ろへ引きます。後ろのかかとを床につけたまま身体を前へ移動し、ふくらはぎを伸ばします。

左右それぞれ、20〜30秒程度を目安に行いましょう。

足首が動きやすくなることで、歩行やしゃがむ動作も行いやすくなります。

胸を開くストレッチ

デスクワークやスマートフォンを見る時間が長い方は、胸周りが硬くなりやすくなります。両手を後ろで軽く組み、胸を開きます。

肩をすくめず、無理のない範囲で、20〜30秒程度ゆっくり呼吸を続けてください。

肩や背中が動きやすい状態を保つことも、良い姿勢を維持するためには大切です。

ストレッチだけで身体が整うわけではない

ここでもう一つ大切なのが、「硬い=とにかく伸ばせばいい」とは限らないということです。身体の中には、硬くなっている筋肉もあれば、反対にうまく働けていない筋肉もあります。

たとえばお尻の筋肉が弱く、股関節を十分に支えられていない場合、周囲の筋肉が必要以上に頑張り、結果として「硬い」「張る」と感じることがあります。

そのため、ストレッチで動きをつくる → 軽い筋力運動で使える状態にするという流れがおすすめです。

股関節をストレッチしたあとに椅子スクワットをする。足首を動かしたあとにかかと上げをする。このように「伸ばす」と「使う」をセットにすると、身体づくりとしてより実践的になります。

身体は壊れてからではなく、壊れにくい状態を育てる

疲れや違和感が出たとき、多くの方は「少し休めば大丈夫」と考えます。もちろん休養は必要です。しかし同じ不調を何度も繰り返している場合は、

「最近、身体を動かしているか」
「食事量を減らしすぎていないか」
「たんぱく質は摂れているか」
「睡眠時間は確保できているか」
「同じ姿勢を長時間続けていないか」

と、一度生活全体を振り返ってみてください。

年齢以上に元気な方の多くは、特別な健康法を続けているというよりも、身体から出ている小さなサインを放置せず、その都度生活を調整しています。

反対に、不調を「年齢だから」と我慢し続けてしまうと、活動量は少しずつ減ります。そして、活動量が減れば筋肉を使う機会も減ります。筋肉が落ちればさらに動くことがつらくなり、ますます活動量が減る。

この悪循環をつくらないことが非常に重要です。

今日から始めるなら、この5つだけでいい

ここまでいろいろ紹介しましたが、一度に全部始める必要はありません。

まずは次の5つを意識してみてください。

① 毎食、肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく源を一品入れる

② 1日合計20〜30分程度を目安に、できる範囲で歩く時間をつくる

③ 椅子スクワットを10回行う

④ 股関節やふくらはぎを20〜30秒ずつ伸ばす

⑤ 長時間座り続けず、こまめに立ち上がる

大切なのは100点の健康法を3日続けることではなく、70点でも半年、一年と続けられる習慣をつくることです。

健康は「治すもの」だけではなく、「失わないように育てるもの」

健康とは、どこか一つを治せば完成するものではありません。身体を整えること。身体をつくるために必要な栄養を届けること。筋肉を使うこと。関節を動かすこと。しっかり休むこと。

そのすべてがつながっています。

今ある痛みを和らげるだけではなく、その先の10年、20年後も自分らしく歩き続けられる身体づくりをお手伝いしたいと考えています。

人生100年時代と言われる今、本当に大切なのは寿命の長さだけではありません。

何歳になっても、自分の足で好きな場所へ出かけ、大切な人と笑い合い、やりたいことを諦めずに暮らせる時間をどれだけ長く持てるかです。

未来の身体は、今日の食事からつくられ、未来の歩く力は、今日どれだけ筋肉を使ったかによって変わります。40代は、身体の衰えを諦める年代ではありません。

これから先も元気に動き続けるための準備を始める年代です。

※運動中に強い痛み、しびれ、息苦しさ、めまいなどがある場合や、痛みが長期間続いている場合は無理に運動を続けず、医療機関などへ相談してください。

参考文献

  1. World Health Organization. UN Decade of Healthy Ageing 2021–2030. World Health Organization, 2021.
  2. Dent E, et al. International Clinical Practice Guidelines for Sarcopenia (ICFSR). Journal of Nutrition, Health & Aging. 2023.
  3. Cruz-Jentoft AJ, et al. Sarcopenia: Revised European Consensus on Definition and Diagnosis―Implementation and Clinical Practice Update. Age and Ageing. 2022.

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堀越 準矢(管理栄養士・健康運動指導士)

管理栄養士・健康運動指導士として、運動・栄養・整体を組み合わせた健康づくりをサポート。企業や自治体で年間100回以上の健康セミナーや栄養・運動指導を行い、肩こり・腰痛予防、高齢者の健康づくり、生活習慣病予防など幅広いテーマで活動しています。

「運動だけ」「食事だけ」ではなく、一人ひとりの生活に合わせた無理なく続けられる健康習慣を提案することを大切にしています。

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