病院では異常なし…それでも不調が続く理由|食事・運動・身体の使い方を見直す

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病院では異常なし…それでも不調が続くのはなぜ?食事・運動・身体の使い方から考える健康づくり

「検査では特に異常ありません」

そう言われて安心したものの、肩こりや腰痛、膝の痛み、胃腸の不調、身体のだるさ、疲れやすさなどは相変わらず続いている。

そんな経験をされている方もいるのではないでしょうか。

もちろん、医療機関を受診して必要な検査を行い、大きな異常が見つからなかったことは、とても大切な情報です。

ただ、私たちの身体は、病気の有無だけで状態が決まっているわけではありません。毎日の食事や運動量、筋力、睡眠、姿勢、身体の使い方、仕事や生活環境、休養など、さまざまな要素から影響を受けています。

特に、検査を受けても原因がはっきりしない不調が続いている場合には、医療機関で必要な確認を続けながら、一度少し視野を広げて、自分の身体と生活習慣を振り返ってみることも一つの方法ではないでしょうか。

病院では異常なし。それでも不調の原因は一つとは限りません

肩が痛ければ肩を治療する。膝が痛ければ膝を診てもらう。胃の調子が悪ければ胃の治療を受ける。

もちろん、症状に応じて医療機関で診察や検査を受け、必要な治療を受けることはとても大切です。処方された薬についても、医師や薬剤師の指示に従って適切に使用することが基本になります。

とはいえ、それでもなかなか不調が変わらない場合があります。そんなときに考えてみたいのが、「原因を一つだけに絞らなくてもいいのではないか」ということです。

例えば肩こりであっても、肩周辺だけではなく、長時間同じ姿勢を続けていることや身体活動の少なさ、筋力、睡眠など、複数の要素が関係している可能性があります。

膝の痛みについても、膝そのものの状態だけではなく、股関節や足首の動き、下半身の筋力、体重、運動量など、いろいろな要素を考える必要があります。

胃腸の不調や疲れやすさについても同様です。一つの症状を見て「これが原因です」と簡単に決めるのではなく、身体全体と日常生活を少し広い視点で確認してみる。そのような考え方が役に立つことがあります。

見直したい項目よく確認されることさらに考えてみたいこと
食事健康的な食品を食べているか必要な量を満たしているか、摂りすぎているものはないか
運動歩く・走る・筋トレをしているか種類・フォーム・強度・頻度が自分に合っているか
筋力運動習慣があるか弱い部分を別の筋肉や動きで補っていないか
身体の使い方痛い部分に問題がないか全身の動き、左右差、関節の動きはどうか
休養睡眠時間を確保しているか運動量や生活負荷に対して十分に回復できているか
医療一度検査を受けているか症状が続く・変化する場合に再評価が必要ではないか

こうして並べてみると、不調について考えるときには「やっている・やっていない」だけでは分からない部分が多いことが見えてきます。

健康のために良いことをしていても、それが今の自分の身体に合った「内容」と「量」になっているか。ここまで確認してみることが大切です。

食事は「身体に良いものを食べている」だけでは分からない

食事についてお話を伺っていると、

「豆腐を食べています」
「野菜を食べています」
「魚も食べるようにしています」

といったお話をよく聞きます。

もちろん、どれも健康的な食生活を構成する食品になり得ますし、意識して食事を整えていること自体はとても良いことだと思います。

ただ、ここでもう一歩だけ考えてみたいのが、「食べているかどうか」だけではなく、「自分に必要な量を摂れているか」ということです。

例えば、たんぱく質を意識して豆腐を食べていたとしても、その量やほかの食事内容によっては、一日に必要な量を十分に摂れているとは限りません。

特に年齢を重ねていくと、筋肉量や身体機能をできるだけ維持していくことは重要です。近年の研究でも、高齢者におけるたんぱく質摂取と筋肉量や身体機能との関係について検討されています。

だからこそ、「豆腐を食べているから大丈夫」「肉を食べているから大丈夫」と食品一つだけを見るのではなく、一日全体の食事として必要な栄養を摂れているのかを見ることが大切です。

これは、たんぱく質だけではありません。

エネルギー量や炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルなど、身体はさまざまな栄養素によって支えられています。

健康のために食事量を減らしている方でも、必要以上に減らしてしまえば、活動量に対してエネルギー摂取が不足する可能性があります。

食事は「良い食品を選ぶ」という視点と同時に、「自分に必要なものを、適切な量で摂る」という視点も持っておきたいところです。

そして、1日単位で見れてきたら1週間、1ヶ月ではどうかも確認してみましょう。

「身体に良いものを食べているのに変わらない」ときに考えたいこと

ここは、食事を考えるうえで非常に大切な部分です。

健康に良いと考えられる食品を意識している。それなのに、思ったように身体の調子が整わない。その場合、「もっと身体に良い食品を追加しなければ」と考える前に、一度食事全体を見てみることをおすすめします。

考え方としては、「必要なものが少なすぎる場合」と、「別のものが多くなりすぎている場合」の両方があります。

例えば魚や大豆製品、野菜などを意識して食べていても、全体の食事量が少なければ、必要なエネルギーや栄養素が不足している可能性があります。

反対に、食事そのものは非常に健康的でも、間食まで含めて振り返ると、アイスやクッキー、菓子パン、甘い飲料などを思っていた以上に摂っているというケースもあります。

これは「アイスを食べてはいけない」「クッキーは身体に悪い」という話ではありません。

好きなものを楽しむことも食生活の大切な一部ですが、毎日の積み重ねとして考えたときに、どのくらいの量と頻度になっているのかを確認することは、健康管理のヒントになります。

近年では、食事パターンと炎症に関連するバイオマーカーとの関係や、超加工食品を多く摂取する食生活とさまざまな健康アウトカムとの関連について研究が進められています。

重要なのは、特定の食品を悪者にすることではなく、食生活全体を見たときに不足と過剰のどちらかに偏っていないかを考えることです。

「身体に良いものを食べているか」だけではなく、「必要なものが足りているか」「摂りすぎているものはないか」この両方から考えると、これまでとは違った食事の見方ができるかもしれません。

運動も「やっているから大丈夫」とは限らない

食事と同じように、運動も「している・していない」だけで考えないことが大切です。

「健康のために毎日走っています」
「毎日たくさん歩いています」
「スクワットをしています」

こうした運動習慣そのものは、健康づくりにとって大切なものです。

一方で、その運動が現在の自分の体力や筋力に合っているかという視点も必要です。

例えばスクワットをしていても、フォームや身体の状態によっては、狙っている部分とは違うところに負担が集中することがあります。

同じ運動でも、ある人にはちょうどよい負荷でも、別の人にとっては強すぎることがあります。年齢、運動歴、筋力、関節の状態、過去のケガなどによって、適切な運動量は変わってくるからです。

ですから、「スクワットを何回やればいい」「何キロ走れば健康になる」と一律に決めるより、自分の身体の反応を確認しながら運動量を調整していくことが大切です。

健康のためのランニングが負担になることもある

ランニングも非常に良い運動の一つですが、「走っている=必ず身体に良い」というわけではありません。

例えば、これまでほとんど運動をしていなかった人が、健康のために突然長い距離を走り始めたとします。心肺機能としては走ることができても、筋肉や腱、関節などがその運動量にまだ慣れていない可能性があります。

走る距離だけではなく、頻度、速度、路面、靴、フォーム、休養など、さまざまな条件が関係します。ランニングによるケガとトレーニング量の関係についても研究されていますが、「この距離を超えたら必ずケガをする」といった単純な基準で説明できるものではありません。

だからこそ大切なのは、たくさん運動することではなく、今の自分に合った運動を継続することです。健康のために始めた運動で身体を痛めてしまっては本末転倒です。

運動後に痛みが強くなる、疲労が何日も残る、日常生活に影響するなどの変化がある場合は、「もっと頑張らなければ」と考えるより、運動内容や負荷を一度見直してみてもよいと思います。

運動量を増やしたら、食事と休養も一緒に考える

もう一つ見落とされやすいのが、運動と食事、休養のバランスです。健康のためにランニングを始めたり、ジムへ通い始めたりすると、それまでより身体を動かす量が増えます。

身体を動かす量が増えれば、エネルギー消費量は増えますが、運動量だけを増やして食事量は以前のまま、さらに睡眠時間も短いとなれば、身体の回復という点では十分でない場合があります。

「運動しているのになかなか身体の調子が整わない」という方は、さらに運動量を増やす前に、食事と休養が現在の活動量に合っているか確認してみるのも一つの方法です。

身体づくりは運動だけで完結するものではありません。身体を動かし、必要な栄養を摂り、そして休む。このバランスがあってこそ、運動を長く続けやすくなります。

身体を整えるなら「痛いところだけ」で考えない

肩が痛ければ肩、腰が痛ければ腰、膝が痛ければ膝。痛みがあると、どうしてもその場所だけに意識が向きます。もちろん、痛みがある場所を医療機関などで適切に評価してもらうことは大切です。

そのうえで身体の動きを考える場合には、痛い場所だけではなく、身体全体を見るという視点も役立ちます。私たちの身体は、一つの筋肉だけで動いているわけではありません。

歩く、立つ、しゃがむ、物を持つといった日常的な動作でも、複数の関節と筋肉が協力しています。そのため、ある部分が十分に働いていなくても、別の部分が動きを補うことで、見た目としては普通に動けてしまうことがあります。

自分では「ちゃんと動けている」と思っていても、実際には得意な筋肉や動作ばかりを使い、苦手な部分はどんどん弱っていきます。そして、ある時、痛みや怪我といったかたちで表面に現れます。

これは一般の方だけではありません。身体について学んでいる理学療法士やトレーナーなどでも、自分自身の身体となると気づきにくい部分はあります。

だからこそ、必要に応じて第三者から身体の動きを見てもらうことにも意味があります。

痛い部分だけを見て「ここが悪い」と決めるのではなく、全身の動きや左右差、筋力、関節の動きなどを確認してみる。そうすることで、今まで気づかなかった身体の使い方が見えてくることがあります。

運動初心者は、まず身体全体を動かすことから

とはいえ、運動を始めたばかりの方が、最初から細かい筋肉を一つずつ意識する必要はありません。

まずは今の体力に合わせて、身体全体を無理なく動かしていくことが大切です。

歩くことから始めてもいいですし、無理のない範囲でスクワットをしてみたり、上半身を動かしたりすることもできます。立つ、座る、しゃがむといった基本的な動作も、私たちの日常生活を支えている大切な身体活動です。

最初は難しく考えすぎず、「今までより少し身体を動かす」というところから始めても十分だと思います。

WHOの身体活動・座位行動ガイドラインでも、少しでも身体活動を行うことは何もしないより良いという考え方が示されています。

そして運動に慣れ、基本的な体力がついてきたところで、今度は少し細かな部分に目を向けてみる。

例えば「右脚と左脚で力の入り方が違う」「この動きだけ苦手」「お尻を使いたいのに太ももの前ばかり疲れる」といったことです。

大きな筋肉を使って身体全体を動かす段階から、少しずつ自分の苦手な動きや弱い部分に気づいていく。

こうした順番で考えていくと、運動を必要以上に難しくせずに続けやすくなると思います。

まとめ|病院では異常なしと言われたときこそ、生活全体を振り返ってみる

「原因は食事」「姿勢が悪い」「筋肉が弱い」などと一つに決めつけるのではなく、必要な医療的確認を続けながら、食事・運動・筋力・身体の使い方・睡眠・休養などを幅広く振り返ってみましょう。

例えば、身体に良いものを選んでいても食事量そのものが不足していたり、毎日歩いていても筋力を使う運動が少なかったり、健康のための運動が今の身体には強すぎたりすることもあります。身体や生活環境は年齢とともに変わります。以前は問題なかった習慣でも、今の自分には少し調整が必要になっているかもしれません。

大切なのは、「医療か生活習慣か」のどちらか一方で考えないことです。必要な医療を受けながら、自分で見直せる食事や運動、睡眠、身体の使い方なども整えていく。その両方の視点から身体を見ることが大切だと考えています。

今までやってきたことを否定するのではなく、現在の身体に合わせて少しずつ整えていくことが重要だと思います。

一度「異常なし」と言われても、症状が長く続く、強くなる、新しい症状が現れる場合には、改めて医療機関へ相談してください。突然の強い痛み、胸の痛みや呼吸困難、意識の異常、突然の麻痺や力が入りにくいなどの症状がある場合は、速やかに医療を受けることが優先されます。

この記事が、「自分の場合はどうだろう!?」と身体や生活習慣を振り返る一つのきっかけになればと思います。

参考文献

  1. Hengeveld LM, et al. Protein intake and muscle health in older adults: evidence regarding dietary protein and skeletal muscle outcomes. Geriatrics & Gerontology International. 2022.
  2. Coelho-Júnior HJ, et al. Protein intake and physical function in older adults: A systematic review and meta-analysis. Ageing Research Reviews. 2022;81:101731.
  3. Koelman L, et al. Effects of Dietary Patterns on Biomarkers of Inflammation and Immune Responses: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Advances in Nutrition. 2022.
  4. Lane MM, et al. Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses. BMJ. 2024;384:e077310.
  5. World Health Organization. WHO Guidelines on Physical Activity and Sedentary Behaviour. Geneva: World Health Organization; 2020.
  6. Fredette A, et al. The Association Between Running Injuries and Training Parameters: A Systematic Review. Journal of Athletic Training. 2022.

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堀越 準矢(管理栄養士・健康運動指導士)

管理栄養士・健康運動指導士として、運動・栄養・整体を組み合わせた健康づくりをサポート。企業や自治体で年間100回以上の健康セミナーや栄養・運動指導を行い、肩こり・腰痛予防、高齢者の健康づくり、生活習慣病予防など幅広いテーマで活動しています。

「運動だけ」「食事だけ」ではなく、一人ひとりの生活に合わせた無理なく続けられる健康習慣を提案することを大切にしています。

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