なぜ人はビタミンCを摂り続けてきたのか
ビタミンCと聞くと、多くの人は「風邪予防」「免疫力アップ」「美肌」といったイメージを思い浮かべるでしょう。確かにそれは間違いではありません。しかし、栄養学的に見れば、ビタミンCはそれ以上に奥深い役割を担っています。

人間は進化の過程で、体内でビタミンCを合成する能力を失った珍しい動物の一種です。つまり、外から摂らなければ生きていけない栄養素。では、なぜそこまで必要だったのか?
答えは「代謝のあらゆる場面でビタミンCが使われるから」です。
本記事では、一般的に知られていないビタミンCの“マニアックな働き”を7つに絞ってご紹介します。
ビタミンCの知られざる7つの役割
1. コレステロール代謝と胆汁酸合成
ビタミンCはコレステロールを胆汁酸に変換する酵素の補助因子として働きます。
胆汁酸は脂質を消化・吸収するために不可欠。ビタミンCが不足するとこの変換が滞り、コレステロール値が上昇しやすくなることが指摘されています。
2. 脂肪燃焼に必須な「カルニチン」合成
脂肪を燃やすには、脂肪酸をミトコンドリアに運ぶシャトル役「カルニチン」が必要です。
ビタミンCはこのカルニチン合成に必須。運動パフォーマンスや持久力にまで影響を与えるため、ダイエットやスポーツ栄養の観点からも重要視されています。
3. 神経伝達物質の合成
私たちの「やる気」や「集中力」は神経伝達物質に支えられています。
特にドーパミンをノルアドレナリンに変換する酵素(ドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ)にビタミンCが必要。
つまり、気持ちの切り替えやストレス対応の一部も、ビタミンCに助けられているのです。
4. アレルギーに関与するヒスタミン分解
花粉症や蕁麻疹の原因物質であるヒスタミン。
ビタミンCには血中ヒスタミン濃度を下げる作用があり、抗アレルギー効果を持つことが古くから報告されています。
薬ではなく「食べ物」でコントロールできる可能性がある点が注目されています。
5. 重金属デトックス
環境や食事から体に入ってしまう鉛や水銀などの有害金属。
ビタミンCは金属イオンを還元し、その毒性を弱める働きがあります。
直接「デトックス」というより、酸化ストレスを抑える補助的役割を果たしているといえます。
6. 発がん物質ニトロソアミン生成の抑制
加工肉やハム・ソーセージに含まれる保存料「亜硝酸塩」は、体内でニトロソアミンという発がん物質に変化する可能性があります。
ビタミンCはこの反応を抑制するため、発がんリスクを下げる栄養素としても注目されています。
7. ストレスホルモンの合成
副腎はストレスに対応するためのホルモン(コルチゾール)を分泌します。
実はこの副腎にビタミンCが多量に存在しており、ホルモン合成に使われています。
強いストレスにさらされると体内のビタミンCが急速に減少するのはこのためです。

ビタミンCの役割まとめ表
働き | 関与する物質・反応 | 健康への影響 |
コレステロール代謝 | 胆汁酸合成 | 脂質代謝の改善 |
脂肪燃焼 | カルニチン合成 | エネルギー代謝・持久力 |
神経伝達 | ドーパミン → ノルアドレナリン | 集中力・ストレス耐性 |
アレルギー対策 | ヒスタミン分解 | 花粉症・炎症緩和 |
デトックス | 重金属還元 | 有害金属の毒性軽減 |
がん予防 | ニトロソアミン抑制 | 発がんリスク低下 |
ストレス対応 | 副腎ホルモン合成 | ストレス耐性・免疫調整 |
ビタミンCは「代謝の黒子」
こうして見ていくと、ビタミンCは単なる抗酸化物質ではなく、「脂質代謝」「脳」「免疫」「がん予防」「ストレス対応」と、多方面で活躍するまさに“代謝の黒子”です。
日常生活で果物や野菜を取り入れることは、ただビタミンCを補給するだけでなく、私たちの体をあらゆる側面から支えることにつながります。

最新参考文献(2023〜2025年)
• Alberts B. et al. Vitamin C and human metabolism: recent insights. Nutrients. 2025.
• Trincianti G. Vitamin C in allergy prevention and management: a systematic review. Frontiers in Immunology. 2025.
• Xiang L. et al. Carnitine metabolism and vitamin C interaction. J Transl Med. 2025.
• Hsueh CW. et al. Vitamin C degrades histamine in vitro. Ann Allergy Asthma Immunol. 2023.
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